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妖精と妖怪のあいだの隣に。鷹野つぎ

妖精と妖怪のあいだ―平林たい子伝 (文春文庫 む 4-13)

「妖精と妖怪のあいだ」は群ようこさんが書かれた平林たい子伝のタイトルなのですが、最近「蟹工船」が流行→プロレタリア文学→女流なら平林たい子とか……そんな流れで取り上げたのではなく。じつは、読み進むうちに長い間忘れていた“知っている人”の名前がでていたのです。

留置場で肋膜炎と結核を患い、重体となって出所して入院しながら、
「そんななかでもたい子は、結核で入院中の作家仲間、鷹野つぎに、代筆であったが闘病を労る手紙を送っていた」(148ページ)

作家仲間、鷹野つぎ。
この人は私の高校の先輩にあたります。従姉妹たちも通っていましたし、昨年甥も入学しました。正確には私たちの出身校、浜松市立高校の前身である浜松高等女学校の卒業生です。たしか正門を入ってすぐのあたりに歌碑がありました(今は校舎が建て替えられ、共学になって、たぶん移動されているでしょう)。

地方で高校生活をおくった私には文学史にわずかでも登場するような物書きが先輩にいたことは励みにもなったし、こんなふうに思いもよらないところで会えるとちょっとうれしい。ただそれだけです。

ついでにもうひとつ。ちょっとうれしかったのは、群さんに平林たい子伝を書くことをすすめ、後書きを書いておられるのは、私を物書きの道へ誘(いざな)ってくれた佐藤愛子さん。直接教えを受けたとかそういうことではなくて、佐藤さんの書かれた物をくりかえし読んで育った。ただそれだけです。

ただそれだけ、の積み重ね。ちょっとうれしい、の積み重ね。そういうことですね。

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