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大好きなインドに、新月の祈りを

ムンバイにも長くいたことがあった。当時はまだ「ボンベイ」と呼んだ。インド門が見える小さなゲストハウスには、ムスリムの人たちもたくさん泊まっていた。窓には毎朝カラスが来た。いろんな店のターリミール(カレー定食みたいなもの)を食べ歩いた。井戸がないのか水道がととのっていないのか、大きな給水車をあちこちで見かけた。

最初の本「アジアごはん紀行」でムンバイ(ボンベイ)の話を書いた。もう14年前のことになる。

暑かった。ときどきタージマハルホテルへ行って紅茶を飲むのは楽しかった。ケーキは甘すぎて美味しいとはいえなかったけれども、砂糖がご馳走、太っているのはお金持ちの証拠といわれると納得できた。

ホテルのロビーで少年に話しかけられた。「日本人ですか?お金をくれませんか?」丁寧な英語だった。物乞いにしては身なりが良すぎる。よく訊いてみたら「僕は世界のお金を集めているんです。まだ日本のお金を持っていないので、コインをいただけませんか?」
私は長く旅行中であること、だから今は日本のコインは持っていないことなどを話した。短期でやってくるビジネスマンとか、ツアーで来る観光客に訊いてごらんなさいというと、少年はにっこり笑ってティールームにいる両親のところへもどっていった。

短期でやってくるビジネスマン。被害に遭われたのはそういう方たちだった。映画「ボンベイ」はインドの現実なのだ、今でも。誰かを何かを憎まないで信じようと思う。大好きなインドにおだやかな日がもどることを信じる。今日は新月です。

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