占いの道に入った頃、私は30年に1度の新月をむかえました。→サビアンシンボルは「弟子に教える巨匠」*
巨匠(マスター)のひとりは、NLPやマインドフルネスをはじめあらゆる手法で内面を探る旅をナビゲートしてくれた米国のドクターでした。最先端の科学のなかで生きる彼女はSQを実践する医師であり、自己啓発スピリチュアルなテーマにも精通していました。夫の介護でボロボロになっていた頃に仕事で出会って、以来約10年のおつきあいのなかで、私は彼女から大切な「遺言」ともいえる言葉をたくさんいただきました。そのなかのひとつがこれです。
「運気を下げる占い師になってはダメ」
――運気を下げる、ってどんな占い師なんだろう?
・勉強をしない。
・お洋服や、女性ならメイクのセンスが感じられない。
・お家が汚い(整理できていない。お掃除できていない。その両方)
「占い師に限らないけれどね」と彼女はこんな項目をあげてくれました。
☆
勉強しない、というのはわかりやすいですね。占い師に限らずどんな仕事であっても勉強は常に大事。学ばなくなったら受け身になって仕事はどんどんつまらなくなる。生きることも同じ。あたりまえのことなのでこれは省略。
→ご参考までに、たとえばこのあたり。会社員も主婦も、全員が個人事業主として生きる時代が来た。*
☆
センスは、最新の流行とかお金がかかっているとかではなく、その人の生き方のセンスがシンプルにあらわれるのが外見=お洋服やメイクということだと思います。勉強と関連していますが、自分の自分らしさをわかっていないようなこころもとない状態で、他者の鑑定はできない。
私がメインにしている西洋占星術でいえば、あまりおしゃれしていなかったりセンスが今ひとつなのに「アセンダントでおしゃれを」などと語っても説得力に欠ける、と。そんな感じだと思います。 あるいはアセンダントに似合わない物腰や会話も。
えーと、私も、たとえば眉についてはいっさい語れません(トホホでございます…)→水星逆行みたいな眉の冥王星乙女世代。*
☆
それから、おしゃれしてきれいにメイクしていても、お家が散らかってごちゃごちゃだったらダメなんだそうです。
でも外で会ったらお家のことまでわからないですよね…と反射的に思ったのですが、こちらが思うことはドクターにはお見通しで「会って顔見れば大体わかるでしょう?」……やっぱり最初の数秒で受けるイメージは大事なんですね(今思えばこれこそまるでアセンダント論のようだった)
そういえば、インドでは、アーユルヴェーダの医師は現代医学の医師として学んだ上で、アーユルヴェーダ医の資格をとります。そのなかに患者がどんな症状(悩み)をかかえてやってきたか初見で(顔を見るだけで)当てる授業があるそうです。当てる、というのは、鋭い観察力を磨くということなのだと思います。医者も占い師も。
→余談ですが、アビヤンガでもヨーガでも瞑想でもなく。アーユルヴェーダの基本は「ウンチ」です。*
☆
お家が片付いている、というのは、ちゃんと生活している、ということでもありますね。
このドクターとのMTGはとても楽しみでした。なぜって、毎回必ず同じフロアにある私邸に招いて昼食をふるまってくださったのです。プライベートな空間へもどると、仕事用の美しい海外ブランドのスーツの上にさっとエプロンをつけて、外科医のようにてきぱきと昼食をつくる。欧米生活が長い方はみんなそうですが、きちんとテーブルセッティングして(スープはときに省略されましたが)メインからサラダ、デザートとお茶まで。
戦後日本のぎりぎりの生活のなかで旅費を工面して渡米して、医大に入学。米国の(ということは世界の)最先端医療に携わるまで想像できないほどの苦しい時間を過ごしながら、命を賭けるような恋や2度の結婚など、女性として生活者として丁寧に暮らしを紡いで来られたのでしょう。生きるということはバランスなのだと思います。仕事だけ、楽しみだけという偏った人生では太陽は輝かない。
ブログやSNSでしょっちゅう「片付けなくちゃ!」「断捨離!」みたいなことを言っていたり、対面鑑定のとき私物のバッグがくたっとしどけなく脇に置いてあったり、見るからに中身がごちゃごちゃになっているのが見えたり……それもこれも要注意だそうです。特に風水や方位を見る先生のバッグのなかが混乱していたら説得力がない、と。たしかに風水の極意はモノと心の整理から始まります。
☆
もっと身近なことでいえば、ちゃんと手を洗っているかどうかも関係ありそうです。 美しくネイルされた指先はきれいなのですが、オーラリーディングで見るとそういう方に限って指先がぼやけて黒っぽく見えたりする場合が多いようです。私たちはエネルギーを指先から放出しているので、ぼやけたり黒っぽいということは、エネルギーの通りがよくない=自己管理ができていないということなのでしょう。
そういえば作家であり主婦でもある古い友人→*の手は、短く切った爪、乾燥してところどころひび割れたりしても、いつもなんだかピカピカに光ってきれいに見えるのです。何かのパーティーで高名な先生から「生活を大切にしてきた手」と褒められていました(本人は「作品より手を褒められたわー」と笑っていましたが)
☆
どんな病気も身体だけ治療しても治らない、心をあつかわなければ。このことを教えてくれたドクターは昨年他界しました。
facebookを見ると、今も彼女のページがあります。
生きているあいだにもらったたくさんの「遺言」を思い出しながら、医療従事者でない私が心をあつかう仕事を継続できるのか、体系的に学問としての占いを修めていない自分にどれだけのことができるのか、ときどき心細くて泣きたくなる日もあります。
そのたびにその辺をちょっと整理して、水まわりをお掃除して磨いて。
それから明日着ていくお洋服を準備して。
寝る前に占星術の初級のテキストを最初から読み直して。
「運気を上げる占い師」になります、とあらためて思うのです。
